整形外科

整形外科について

整形外科のイメージ写真

整形外科は、身体を動かす際に重要な役割を果たしている「運動器=筋、骨、靭帯」に生じた『痛み』を専門に扱う診療科です。すなわち体の芯となる骨や関節、それを取り囲んでいる筋肉、腱、神経の機能を回復させながら『痛み』の症状も治療していきます。

『痛み』を引き起こす原因は怪我だけではなく、姿勢、加齢、生活習慣など複雑な原因が重なり合っていることが多く、そういった環境因子も含めて『痛み』の原因を突き止めていく必要があります。

当院では病気を治すだけでなく、病気になりにくい体づくり、健康増進も積極的に行い、地域住民の皆様の「健康寿命」を延ばすことに尽力致します。この地域にお住まい、お勤めの皆様方にとって身近な整形外科かかりつけ医として、患者様の信頼にお応えしていきたいと考えておりますので、どんな些細なことでも遠慮無くご相談ください。なお手術加療や追加検査等が必要な際は、大学含めた関連病院と連携することで、適切な医療をご提供してまいります。

頸椎症

頸椎とは首を構成している骨を指し、そこにゆがみが生じた状態を頚椎症と言います。頚椎症になると、首や肩甲骨付近に痛みを感じたり、肩コリに悩まされたりします。さらに神経の走行に問題が起こると、首や肩だけでなく腕の痺れが生じることもあり、手を動かして行う仕事や家事にも支障を来たすようになります。さらに進行すると手足に力が入りにくくなり、ボタンがかけづらくなるなど日常生活にまで支障をきたすようになります。姿勢の悪い方、仕事などで重量物を繰り返して持ち上げる方、頸椎に負荷のかかる運動をされる方は特に頚椎症になりやすいので、注意するようにして下さい。

頸椎椎間板ヘルニア

頸椎椎間板ヘルニアは、骨と骨とのクッションの役割を担う椎間板が加齢などによって変性してしまい、後方へ飛び出してくる病気です。神経にも影響が及び、首や肩甲部、上肢に痛みやしびれが走ったり、ハシが使いづらくなったり、ボタンがかけづらくなったりします。進行すると、手足に力が入りにくくなり、上手く歩けなくなります。この疾患も、姿勢が悪い方、仕事や運動などで頸部に負担がかかりやすい方によく見られるのですが、特に誘因が無いのに発症するケースも少なくありません。レントゲンだけだは不明な場合も多く、MRIなどの検査と合わせて診断していきます。

五十肩(肩関節周囲炎)

肩関節周囲炎は、文字通り肩関節の周囲に炎症が起こる病気ですが、50歳代の方に見られることが多いため、一般的には「五十肩」と呼ばれています。加齢に伴い、関節を構成している骨や軟骨、靭帯、腱が老化してくると、どうしても肩関節周辺の組織に炎症が起こりやすくなり、仕事盛りの40‐60代に多く認められます。ひどくなると、夜間の寝返りの際に痛みが強くなったり、腕の位置によって痛みが出て眠れないこともあります。症状が長期化すると肩関節の動きが悪くなるため、リハビリテーションなどの理学療法が効果的です。

肩腱板断裂

『肩痛』という症状では前述の『肩関節周囲炎』と似ていますが、この疾患は筋肉そのものの損傷・断裂が原因となります。肩腱板が断裂すると、肩を動かすときに痛みが生じます。睡眠中に激痛が起こって目が覚めたり、腕を上げるときに力が入らない、肩の前上面でゴリゴリ音がするなどの症状も見られます。筋肉の損傷が中心となりますので、ある動作や肩の位置で痛みが誘発されることが多くなります。

主な原因としては、「転倒したときに肩に強い負担がかかった」、「肩の外傷を負った」などが代表的ですが、はっきりした原因がなく加齢に伴うケースも少なくありません。ご自身では特に原因が思い当たらないときでも、肩の痛みが長く続いているときは、お早めにご相談ください。

上腕骨外側上顆炎

上腕骨外側上顆炎は、長年にわたってテニスを行ってきた中年以降の患者様に起こりやすいため、一般的には「テニス肘」と呼ばれていました。しかしながら最近ではスマートフォンやパソコンを使用する機会が多くなり、『手首を返す姿勢』を長時間続けるような場合も同様な症状が出ることがあります。
主な症状としては物を掴んで持ち上げたり、タオルを絞ったりする際に肘の外側から前腕にかけて痛みが走り、多くの場合、安静時に痛むことは少ないです。原因として手首を返す際に働く短橈側手根伸筋という筋肉の起始部に炎症が起こり、痛みが出現すると言われています。

肘内障

お子様が急に車道に飛び出そうとしたときなど、保護者の方が慌てて手を引っ張った場合に起こることが多い疾患です。成長過程のお子様の肘関節は柔らかく、まだ靭帯などがしっかりと出来ていません。その状態で肘の辺りに急な牽引力が加わると、肘周囲の靭帯(輪状靭帯といいます)から骨がずれて『部分的に外れてしまう』のです。そのため肘内障は小児期の1~6歳前後に多く見られます。
症状としてお子様は腕を伸ばして下げたまま、動かそうとしなくなり、肘を曲げようとすると痛がります。あくまで部分的に外れてしまうだけですので、適切に整復を行えば特に後遺症が残るようなこともありません。ただし転倒などの外傷では骨折の可能性も考えられますので、レントゲン検査などで確認することが必要となります。

手根管症候群

手根管症候群は、手首の中央付近を通過している正中神経が圧迫された状態です。手作業など手を酷使した状態を続けると手根管という正中神経が通る管(トンネル)が炎症を起こして狭くなり、指先(主に親指、人差し指、中指)にかけて痛みや痺れ、違和感を認めるようになります。夜間~明け方にかけて症状が出現することが多く、手を軽く振ると痛みが和らいだりします。病状が進行すると、親指の付け根がやせてきて、物を摘まむ動作など細かい作業が困難となります。圧倒的に女性に多いと言われていますが、手を酷使する方ならば男女ともに起こります。

腱鞘炎・ばね指

腱鞘炎とは、指の使い過ぎによって腱の通るトンネル(いわゆる腱鞘)に炎症が起こった状態です。炎症を繰り返した腱鞘は徐々に肥厚し、その結果腱の動きが制限され、指の曲げ延ばし動作をすることで指の付け根付近に痛みを生じます。
初期の段階では指の付け根に腫れや熱感が生じるだけですが、進行すると曲げた指が元に戻る際にばねのように戻る状態(いわゆるばね指)が生じます。手作業が多い方に認めますが、妊娠や女性ホルモン影響で特に女性に多く認められます。

腰部脊柱管狭窄症

加齢に伴って骨が変形したり、靭帯が肥厚して変性したりすると、神経の通る道(脊柱管)が徐々に狭くなります。狭くなった脊柱管内で神経が圧迫されることにより、足のしびれなどが認められるようになり、このような状態を腰部脊柱管狭窄症と言います。さらに変形が進むと骨の一部が棘状に突出するようになり、これが脊髄や神経根を圧迫することで強い痛み(下肢痛)を引き起こし、日常生活に支障をきたすようになります。加齢とともに変形をきたすことから若い方にはあまり見られませんが、重労働をされる方や腰痛持ちの方は早期に症状が出現する可能性があります。
日常生活の影響も大きいため慢性的な腰痛にお悩みの方は、早めに整形外科へご相談し、予防を図ることが大切だと考えられます。

腰椎椎間板ヘルニア

椎間板とは線維輪と髄核でできていて、背骨と背骨をつなぐクッションの役目を果たしています。重労働による腰の負担や慢性的な腰痛が続くと、椎間板に負担がかかり、その一部が脊柱管内にはみ出てくるようになります。このような状態を腰椎椎間板ヘルニアといいます。はみ出た椎間板が神経を圧迫してしまうことで、腰や臀部に痛みが出たり、下肢が痺れるようになります。さらに圧迫が強くなると足に力が入りにくくなり、歩行が辛くなったり、排尿がしにくくなったりなど日常生活に支障をきたします。
脊柱管狭窄症と同様に日常生活の影響が大きく作用するため、早期に予防を図ることが大切だと考えられます。

胸腰椎圧迫骨折

尻もちをついて転倒し、椎体に過度な圧迫力が加わることで生じます。この骨折は『骨粗しょう症』に伴う骨の脆弱性が原因と考えられ、60歳以降の高齢女性に多く認められます。骨密度の低下が深刻になると転倒などの外力がない状況でも骨折をきたしやすくなり、いわゆる「いつの間にか骨折」と呼ばれることもあります。骨折をきたすと強い腰痛を認め、日常生活に大きく影響を及ぼします。
骨折を起こさないためにも、きちんとした骨粗しょう症治療を行い、予防を図ることが大切です。50歳を過ぎた方は、一度骨密度検査にて骨粗しょう症の評価を行いましょう。

変形性股関節症

変形性関節症とは関節を形成する軟骨が加齢とともに変性し、すり減ってきた状態を言います。初期の段階では立ち上がり動作時や歩行開始時に脚の付け根が痛むようになりますが、しばらく歩き続けると症状は軽快していきます。変形が徐々に進行していくと、股関節の動きが制限され、歩行動作や階段昇降など日常的な動作に支障をきたすようになります。さらに変形が進み、関節症末期の状態になると、左右の脚の長さが変わってしまい、腰痛などの「関連痛」が出現するようになります。股関節の動きは人によって様々であり、その可動範囲を広げることで変形の進行は予防することが可能です。症状がある方は一度股関節の動きも含め、評価をすることをお勧め致します。

大腿骨頭壊死症

大腿骨頭壊死とは股関節の中心である大腿骨頭の血流が低下し、その部分が壊死する状態です。変形性股関節症の状態やケガに伴って認める場合もありますが、現在でもはっきりとした原因は分かっていません。壊死してしまっても、常に痛みがある訳ではなく、殆ど痛みを自覚できない時期もあり、医療機関の受診が遅れることもあります。
症状としては立ち上がり時や歩行時などの荷重時痛が中心ですが、壊死の状態では安静時にも症状が続くことがあります。
痛みを我慢して歩いていると、どんどん壊死が進み、股関節の変形が進行していくことになるため、症状がある方は早めにレントゲン評価を行うようにしてください。

変形性膝関節症

変形性関節症とは関節を形成する軟骨が加齢とともに変性することを指し、膝関節の軟骨が変性する状態を変形性関節症と言います。関節炎や変形が進行するにつれて膝の痛みが強まり、炎症が強くなるといわゆる「水が溜まってきた」状態になります。
初期の段階では立ち上がるとき、歩き始めるときなど、動作の開始時にだけ痛みが出現し、しばらくすると痛みは和らぎます。しかし、だんだんと変形が進んでくると正座や階段の昇り降りが困難になり、末期になると、安静時にも痛みが出現し、日常生活に大きく影響を及ぼします。
変形性関節症とは歩行の仕方や重心のかけ方など体のバランスを整えることで予防することが十分可能です。末期の状態に陥らないよう、早めにリハビリテーションなどの予防対策を講じることが大切となります。

膝周囲の靭帯損傷

膝周囲の靭帯損傷はスポーツや外傷などで膝周囲の靱帯に過度な負担が加わると、靱帯が部分的に損傷する状態です。
受傷直後は膝の痛みが強く、腫れたりなどして関節を動かせる範囲の制限がみられます。その段階を過ぎると、痛みや腫れ、可動域制限はどれも軽くなってきますが、損傷部位によっては膝の不安定感や痛みが残ることがあります。
こういった靭帯の損傷に関してはレントゲン評価だけでは判断できないことも多く、症状が長引く場合はMRIなどの検査で正確な診断を行う必要があります。